「ウイスキーの種類が多すぎてよくわからない」
──そんな方に向けて、この記事ではウイスキーを「原料別」「産地別」の2つの観点からわかりやすく解説します。
初心者から中級者まで、自分に合ったウイスキーを見つけるヒントになります。
ウイスキーの種類と特徴【原料別】
ウイスキーは「蒸留酒」に分類されるお酒の一種です。
ウイスキーは主に使われる原料の違いによって、以下の3種類に分類されます。
モルト・ウイスキー
大麦麦芽100%で造られるウイスキー。
香りやコクが強く、ウイスキーの中でも特に個性豊かなジャンルです。
- シングル・カスク:
1つの樽から瓶詰め。 - シングル・モルト:
1つの蒸留所のモルト原酒をブレンド。 - ブレンデッド・モルト:
複数の蒸留所のモルト原酒をブレンド。
グレーン・ウイスキー
トウモロコシ・小麦・ライ麦などの穀物を主原料に、少量の大麦麦芽を加えて造られるウイスキー。
味わいは軽やかでクセが少なく、主にブレンデッド・ウイスキーのベースとして使われます。
なお、ライ麦を51%以上使うと「ライ・ウイスキー」、トウモロコシを80%以上使うと「コーン・ウイスキー」と呼ばれます。
ブレンデッド・ウイスキー
モルト原酒とグレーン原酒を調合して造られるウイスキー。
モルトの複雑さとグレーンの飲みやすさを兼ね備えた、世界で最も流通しているタイプです。
世界5大ウイスキーの違いと特徴【産地別】
次に、ウイスキーを産地での分類です。
今回は、「世界5大ウイスキー」と呼ばれる、生産量が多く、高品質かつ知名度が高い5つの国・地域で製造されているウイスキーをご紹介します。
アメリカン・ウイスキー

トウモロコシを主原料にした力強い甘さが持ち味です。代表格のバーボンは、内側を強く焼いた新樽で熟成され、バニラやカラメル、トーストした木のニュアンスがはっきりと立ちます。
産地:
アメリカ
代表銘柄:
アメリカン・ウイスキーの定義:
- アメリカ国内で製造
- アルコール度数95%未満で蒸留
- アルコール度数62.5%以下で熟成
- オーク樽で熟成
- 瓶詰め時のアルコール度数40%以上
スコッチ・ウイスキー

大麦麦芽をピート(植物や海藻が堆積したもの)で乾燥させることによるスモーキーな風味が特徴。アイラ島のようにヨードや海風を思わせる風味が強く出る産地もあれば、スペイサイドのように蜂蜜や果実の華やかさが前に出る産地もあります。
産地:
スコットランド
代表銘柄:
- ラフロイグ
- マッカラン
- グレンフィディック
スコッチ・ウイスキーの定義:
- アルコール度数94.8%未満で蒸留
- スコットランド国内で3年以上熟成
- 容量700L以下のオーク樽で熟成
- 水および無味カラメル着色料以外の添加禁止
- 瓶詰め時のアルコール度数40%以上
アイリッシュ・ウイスキー

三回蒸留による雑味の少ないなめらかな飲み口が特徴です。ピートをあまり使わないため香りは穏やかで、穀物や果実の自然な風味が感じられます。
産地:
アイルランド
代表銘柄:
- ブッシュミルズ
- タラモア・デュー
- ジェムソン
アイリッシュ・ウイスキーの定義:
- アルコール度数94.8%未満で蒸留
- アイルランド国内で3年以上熟成
カナディアン・ウイスキー

ライ麦などの穀物を加えたブレンデッド・ウイスキーが主流です。また、香味液(ブランデーやワイン)の添加が許されており、スムーズで軽快、ハイボールに合いやすいのが特徴です。
産地:
カナダ
代表銘柄:
- カナディアンクラブ
- カナディアンミスト
- クラウンローヤル
カナディアン・ウイスキーの定義:
- カナダ国内で3年以上熟成
- 容量700L以下の木樽で熟成
- 瓶詰め時のアルコール度数40%以上
- カラメル(色調整)や香味液の使用可
ジャパニーズ・ウイスキー

ミズナラ樽由来の白檀や伽羅を思わせる独特の香り、ブレンド技術による複雑な味わいが特徴です。木樽の樹種を限定していないため、桜樽などの独自の熟成も探求されています。
また、サントリーやキリン、ニッカ(アサヒグループ)などの大企業が参入し、原酒造りから瓶詰めまで自社で行なっているため、大企業のノウハウ・人材・資金力による品質の高いウイスキーを提供しています。
産地:
日本
代表銘柄:
ジャパニーズ・ウイスキーの定義:
- 日本国内で製造
- 日本国内で採水された水を使用
- アルコール度数は95%未満で蒸留
- 日本国内で3年以上熟成
- 容量700L以下の木樽で熟成
- 瓶詰め時のアルコール度数40%以上
- カラメル(色調整)の使用可
まとめ|自分に合ったウイスキーを見つけよう
ウイスキーは、原料や産地によって驚くほど多様な風味を楽しめます。
- 個性を味わいたい
→ モルト・ウイスキー - 飲みやすさ重視
→ ブレンデッド・ウイスキー - 地域色を楽しむ
→ 世界5大ウイスキー
それぞれの特徴を知れば、ウイスキー選びがもっと楽しくなるはず。まずは好みの産地や原料を決めて、自分だけの一杯を探してみましょう。
▼ウイスキーの製造工程もチェック▼