ワインの製造工程と種類:専門用語を使わずにわかりやすく解説

お酒の知識
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ワインの製造工程

ワインの製造は、ぶどうからワインができるまでを6つのステップに分けることができます。それぞれの工程を簡単に解説します。

  1. 破砕(はさい)
    収穫したぶどうをつぶして果汁を抽出します。この時、赤ワインの場合は果皮や種も一緒に使い、色や渋みを引き出します。一方、白ワインでは果汁だけを使うのが一般的です。
  2. 発酵(はっこう)
    果汁に酵母を加え、糖分をアルコールに変換します。この工程でアルコールとともに、香りや風味の基礎が形成されます。発酵の温度や期間は、ワインの種類によって調整されます。
  3. 圧搾(あっさく)
    発酵が終わったら、搾って果皮や種を取り除きます。この工程で得られた液体が、ワインの基礎となる部分です。
  4. 熟成(じゅくせい)
    ワインをステンレスタンクや樽に入れて数か月から数年間保管し、味や香りを調整します。樽熟成の場合は、樽の種類や焼き加減が風味に大きな影響を与えます。
  5. 濾過(ろか)
    ワインを濾して不純物を除去します。この工程により、ワインが透明で見た目も美しくなります。
  6. 瓶詰め(びんづめ)
    完成したワインを瓶に詰めて密封します。瓶詰め後、さらに熟成が進む場合もあります。

赤、白、ロゼワインの違い

赤ワインは、黒ぶどうを原料にして作られます。果汁だけでなく、果皮や種も一緒に発酵させるのが特徴です。この過程で果皮から色や渋み(タンニン)が抽出されるため、ワインは赤黒い色になり、しっかりとした渋みと深いコクを楽しむことができます。

白ワインは、主に白ぶどうを原料にして作られますが、黒ぶどうを使用する場合もあります。果皮や種を取り除いて果汁だけを発酵させるため、透明感のある黄金色となり、爽やかで軽やかな飲み口が特徴です

ロゼワインは黒ぶどうを原料にして作られますが、赤ワインとは異なり、果皮を果汁と短時間だけ漬け込みます。その後、発酵は果汁のみで行われるため、ワインは淡いピンク色に仕上がります。味わいは赤ワインと白ワインの中間的なバランスの良さがあり、軽やかで飲みやすく、食事との相性も幅広いのが魅力です。

代表的なぶどうの品種と特徴

ワインの味わいや香りは、使用するぶどうの品種によって大きく変わります。以下に、世界的に有名な代表的なぶどう品種とその特徴を紹介します。

赤ワイン用ぶどう品種

  • カベルネ・ソーヴィニヨン
    フランスのボルドー地方をはじめ、世界中で栽培されている赤ワインの代表品種で、「ワインの王様」とも呼ばれます。濃厚で力強い味わいが特徴で、カシスやブラックチェリーの香りに加え、熟成によってスパイスやタバコのニュアンスが生まれます。
  • メルロー
    柔らかくまろやかな味わいで、初心者にも飲みやすい赤ワインを生み出します。プラムやブラックベリーの香りが特徴で、カベルネ・ソーヴィニヨンとブレンドされることが多いです。
  • ピノ・ノワール
    繊細でエレガントな赤ワインを生み出す品種で、フランス ブルゴーニュ地方の高品質ワインに使用されます。イチゴやラズベリー、花のような香りを持つ一方で、生産が難しく「気難しいぶどう」としても知られています。

白ワイン用ぶどう品種

  • シャルドネ
    多様性に富む白ワインの代表品種で、産地や製法によって味わいが大きく変化します。柑橘系の爽やかな香りからバターやナッツのようなリッチな風味まで幅広い特徴があります。シャンパーニュにも使われる重要な品種です。
  • ソーヴィニヨン・ブラン
    爽やかでフレッシュな白ワインを生み出す品種で、ハーブやグレープフルーツ、青リンゴの香りが特徴です。ニュージーランド産のソーヴィニヨン・ブランは特に人気があります。
  • リースリング
    ドイツを代表する品種で、甘口から辛口まで幅広いスタイルのワインが作られます。ライムや白い花の香りを持ち、酸味がしっかりしているため長期熟成にも適しています。

覚えておくべきラベル表示ルール

日本のラベル表示ルール

酒税法(酒類に対する税金の徴収や管理を定めた法律)』を実施するための具体的な規則である『酒税法施行規則』において、『果実酒等の製法品質表示基準』を遵守することが求められています。

『果実酒等の製法品質表示基準』では、国内製造ワインと輸入ワインの定義やラベル表示ルールが定められています。

国内製造ワインは醸造工程(発酵、熟成、瓶詰めなど)が日本国内で行われたワインのことを指します。

その中でも、国内で収穫されたぶどうのみを使用したものを日本ワインといい、ラベルに「日本ワイン」と記載することができます。
また、日本ワインは下記情報をラベルの正面に表示することが許されています(義務ではない)。

  • ぶどうの収穫地
  • ぶどうの品種
  • ぶどうの収穫年

日本ワイン以外の国内製造ワインの場合、国税庁が定めた標準様式による記載のみ許されています。

フランスのラベル表示ルール(AOC)

ワインの生産国として最も有名なフランスでは、ワインの品質と産地を保証するために『AOC(Appellation d’Origine Contrôlée:原産地呼称統制)』という制度が導入されています。

制度のなかにはAOC認定地域(AOCボルドーなど)が定められており、AOC認定地域のワインを名乗るには各地域ごとの厳格な基準を満たさなくてはなりません

基準を満たしAOCワインとして販売する場合、下記情報をラベルに記載することが義務付けられます。ただし、記載は必ずしもラベルの正面である必要はなく、背面に記載されている項目もあります。

  • AOC認定地域(AOCボルドーなど)
  • 生産者名(シャトー〇〇、ドメーヌ〇〇)
  • ワインの種類(赤ワイン、白ワインなど)
  • アルコール度数
  • 容量

また、下記情報の記載も許されています(義務ではない)。

  • 生産地の詳細(AOCボルドーなど)
  • ぶどうの品種(メルローなど)
  • ぶどうの収穫年
  • ワインの格(グラン・クリュ:特級畑など)

フランスでは、地域によって使われるぶどう品種が伝統的に決まっていることが多いため、消費者はAOC認定地域さえ分かれば品種を推測できる場合が多いです。そのため、AOCワインにおいては、必ずしもぶどう品種をラベルに記載する必要はなく、地域名や生産者名などの情報のみが義務化されています。

おわりに

ワインの製造工程や種類、ぶどう品種、ラベル表示ルールについて解説しました。ワインは製法や産地によって多彩な個性を持ち、知識を深めるほど楽しみが広がります。

本記事をきっかけに、自分に合ったワインを見つけたり、新しい銘柄に挑戦したりして、ワインの奥深い世界をぜひ楽しんでみてください。

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