体重計と体組成計の違いとは?

「体重計」と「体組成計」は見た目こそ似ていますが、測っている内容がまったく異なります。
体重計は、単純に体の重さだけを測定する機器です。そのため、筋肉・脂肪など体の中身の変化まではわかりません。体重の増減があっても、それが「脂肪が増えたのか」「筋肉が減ったのか」までは判断できないのが特徴です。
一方で体組成計は、体に微弱な電流を流して筋肉・脂肪などの割合(体組成)を推定する機器です。体のバランスを多角的に測れるため、ダイエットや健康管理に役立ちます。
つまり、体重計は「重さだけを見る機械」、体組成計は「重さの内訳まで見える機械」といえます。
体組成計でわかる"身体のバランス指標"

ダイエットや健康管理を始めるとき、まず気になるのが「体重」だと思います。
しかし、身体の状況を正しく理解するためには、「体脂肪率」「BMI」などの基本指標をあわせて見ることが大切です。
体重
最も身近でわかりやすい指標が「体重」です。
ただし、体重には水分・筋肉・脂肪・骨など、すべての重さが含まれるため、単純に「減った=痩せた」とは限りません。
一時的な体重変化の多くは、水分量や食事量の変化によるものです。毎日の増減に振り回されるよりも、1週間の平均体重で推移を見るのがおすすめです。
BMI(ボディマス指数)
「BMI」は、太り具合や痩せ具合を示す基本的な指標で、体重と身長から次の式で求められます。
BMI = 体重[kg] ÷ (身長[m]×身長[m])
多くの体組成計では、あらかじめ身長を登録しておくと、自動でBMIが算出・表示されます。
ただし、BMIは体重の内訳(筋肉・脂肪・骨など)を反映しないため、筋肉量の多い人が「肥満(BMI25以上)」と判定されることもあります。
健康状態を正しく判断するには、BMIだけでなく、体脂肪率や筋肉量、見た目の変化もあわせて確認することが大切です。
BMIの目安
(出典:オムロンヘルスケア)
- 18.5未満:やせ
- 18.5〜24.9:普通
- 25.0〜29.9:肥満(1度)
- 30.0以上:肥満(2度)
体脂肪率
「体脂肪率」とは、体全体に占める脂肪の割合を示す数値で、ダイエットやボディメイクの成果を判断するうえで欠かせない指標です。
体内に微弱な電流を流して電気抵抗を測定する生体電気インピーダンス法(BIA法)で計測します。
電気抵抗は水分量や体温の影響を受けやすく、水分が少ない早朝は体脂肪率が高く、体温が上がって足裏が湿っている風呂上がりは低く出やすくなります。数値を安定して比較するには、毎回同じ条件で測ることが大切です。
体脂肪率の目安
(出典:オムロンヘルスケア)
男性
- 10.0%未満:低い
- 10.0〜19.9%:標準
- 20.0〜24.9%:やや高い
- 25.0%以上:高い
女性
- 20.0%未満:低い
- 20.0〜29.9%:標準
- 30.0〜34.9%:やや高い
- 35.0%以上:高い
内臓脂肪レベル
体の脂肪には、皮膚の下につく「皮下脂肪」と、内臓のまわりにつく「内臓脂肪」の2種類があります。
体組成計では、生体電気インピーダンス法(BIA法)を用いて、電気抵抗から体脂肪の分布を推定し、内臓脂肪の量を「レベル」として表示します。
内臓脂肪は食生活の乱れや運動不足、ストレスなどで増えやすく、放置すると健康リスクが高まります。バランスの取れた食事と定期的な運動を心がけ、数値の推移を定期的に確認することが大切です。
内臓脂肪レベルの目安
(出典:オムロンヘルスケア)
- 1〜9:標準
- 10〜14:やや高い
- 15〜30:高い
骨格筋率
「骨格筋率」は、体重に占める骨格筋(体を動かす筋肉)の割合を示す数値です。
この割合が高いほど、代謝が高く、太りにくく引き締まった体型を維持しやすい傾向があります。
体組成計では、生体電気インピーダンス法(BIA法)を用いて、体内の電気の通りやすさから筋肉量を推定し、体重に対する割合を算出します。
筋肉は水分を多く含むため、運動直後や入浴後など体内水分が増えているタイミングでは高く表示されやすい点に注意が必要です。
骨格筋率の目安
(出典:オムロンヘルスケア)
男性
- 5.0〜32.8%:低い
- 32.9〜35.7%:標準
- 35.8〜37.3%:やや高い
- 37.4〜60.0%:高い
女性
- 5.0〜25.8%:低い
- 25.9〜27.9%:標準
- 28.0〜29.0%:やや高い
- 29.1〜60.0%:高い
基礎代謝量(BMR)
「基礎代謝量(BMR:Basal Metabolic Rate)」とは、何もしていなくても生命を維持するために消費されるエネルギー量のことです。
心臓の鼓動や呼吸、体温維持など、体が生きているだけで使うエネルギーを指します。
基礎代謝量は、年齢・性別・筋肉量によって変わるため、体組成計では、これらのデータから基礎代謝量(kcal/日)を推定します。
日々の数値を確認しながら、筋トレや十分な睡眠、バランスの取れた食事を意識することで、代謝の高い体を維持することが大切です。
基礎代謝の目安
(出典:オムロンヘルスケア)
男性
- 10〜17歳:1,330〜1,580kcal/日
- 18〜29歳:1,510kcal/日
- 30〜49歳:1,530kcal/日
- 50〜69歳:1,400kcal/日
- 70歳以上:1,280kcal/日
女性
- 10〜17歳:1,200〜1,280kcal/日
- 18〜29歳:1,120kcal/日
- 30〜49歳:1,150kcal/日
- 50〜69歳:1,110kcal/日
- 70歳以上:1,010kcal/日
計算で求める"ダイエット関連指標"

体組成計で身体の現状を把握したら、次は日々のエネルギー収支を数字で管理するステップです。
「摂取カロリー」と「消費カロリー」のバランスを理解することで、体重を減らす・維持する・増やすといった目標を具体的に設定できます。
ここでは、1日の消費エネルギー量を示す総消費カロリー(TDEE)と、目的別のカロリー摂取の目安について解説します。
総消費カロリー(TDEE)
「総消費カロリー(TDEE:Total Daily Energy Expenditure)」とは、基礎代謝に日常生活や運動などで使うエネルギーを加えたもので、1日に消費する総エネルギー量を指します。
基本の考え方はシンプルで、
- 摂取カロリーがTDEEより少なければ減量
- 同じなら維持
- 多ければ増量
となります。
総消費カロリーは、基礎代謝量と身体活動レベルから次の式で求められます。
総消費カロリー = 基礎代謝量 × 身体活動レベル
<身体活動レベル>
- レベルⅠ:低い 1.50(1.40〜1.55)
基本的な外出せず、1日のほとんどを座って過ごす場合 - レベルⅡ:普通 1.75(1.60〜1.75)
座位中心の仕事だが、職場内での移動や立位での作業、通勤や買い物などの外出をする場合 - レベルⅢ:高い 2.00(1.85〜2.00)
身体を動かす仕事やスポーツなど活発な運動習慣をもっている場合
除脂肪体重(LBM)
「除脂肪体重(LBM:Lean Body Mass)」とは、体重から脂肪の重さを除いた部分を指し、次の式で求まります。
LBM[kg] = 体重[kg] × (1−体脂肪率[%]÷100)
ダイエットでは体重や体脂肪率を落とすことが目標になりますが、除脂肪体重をできるだけ維持することが理想です。
筋肉(=除脂肪体重)が減ると基礎代謝が下がり、脂肪が燃えにくくリバウンドしやすくなります。
そのため、適度なカロリー制限に加え、十分なたんぱく質摂取と筋トレを行うことで、脂肪だけを効率的に減らすことが重要です。
ダイエット中の指標の活用方法
これまで、体組成計で計測できる数値や、それらをもとに計算で求められる指標を紹介してきました。
しかし、ダイエット中にすべての数値を意識し続けるのは現実的ではありません。 そこで、目的に応じて注目すべき指標を絞ることが大切です。
最初にチェックすべきは、
- 体重
- 体脂肪率
- 総消費カロリーまたは基礎代謝量
この3つを把握することで、自分の現状と1日のエネルギーバランスを理解できます。
一方、ダイエット中にチェックすべきは、
- 体重
- 体脂肪率
- 除脂肪体重(LBM)
これらの数値の変化を見る際は、体重が減っていても除脂肪体重が落ちていないかを確認することがポイントです。
日々の測定値に一喜一憂するよりも、1〜2週間単位での平均変化を確認することで、確実に成果を実感しやすくなります。
スマホ連携機能付き体重計・体組成計
日々の体重や体脂肪率を継続的にチェックするなら、スマホ連携機能付きの体組成計が圧倒的に便利です。
BluetoothやWi-Fiでスマホと自動連携できるモデルなら、手入力の手間がなく、記録の抜け漏れも防げるため、長期的な体の変化を正確に追いやすくなります。
また、多くのアプリでは「体重・体脂肪率・筋肉量・基礎代謝」などの推移をまとめて確認でき、ダイエットやトレーニングのモチベーション維持にも役立ちます。
